黒部牧場 1億2,460万円の税金投入-運営・経営計画も示さないで
黒部市の3月定例会は、3月3日から20日までの日程で開かれた。一般会計220億2干500万円、特別会計59億900万円、企業会計193億8500万円の総額473億1900万円の新年度予算など35議案が上程された。日本共産党黒部市議団は、不況のなかで消費税分の上乗せや新たな施設使用料の徴収など、市民生活を守る予算になっていないとして一般会計予算に反対した。
橋本文一議員は日本共産党を代表して4項目について質問をした。
橋本議員は「私は、これまで黒部市で牧場を経営していくにはしっかりとした運営計画や経営ビジョンが必要と述べてきた。基本構想や運営・経営ビジョンがいまだ発表されていない。26年度予算から、黒部市牧場事業特別会計となり、未経産牛の導入及び搾乳施設等増新設工事の事業予算、1億2千460万円が議案として提出されている。市民や議会にも運営計画を提示しないで、事業を進めて行くことは納得できない。また、利用できない牧草地は、農業体験や果樹の栽培になど特産物の販売や開発、牧場の優れた景観、眺望と合わせ、魅力ある牧場となるよう取り組むと述べていたがどうなっているのか」と質問した。
産業経済部長は「運営・経営ビジョンについては広報くろべで市民の皆様に知らせていく。牧場の活性化と経営の安定化を図るため、畜産物の生産拡大が不可欠であり、育成牧場から酪農牧場への転換が必要。今後約5年間かけて草地改良を行う。利用できないエリアについては、そばや果樹等の作付け、動物とのふれあい体験農場としての利用を検討したい」と答弁。
コメ政策転換で農家に不安広がる-市当局 農家の経営に影響は大きい
橋本議員は「政府はコメ政策を大転換し、生産調整の5年後の廃止や今年度から、補助金を見直すことにした。今回のコメ政策改革大綱は、TPPを前提とした安倍政権の農政『構造改革』を全面的に推進するものだ。コメの生産調整の廃止や水田農業にたいする各種施策・補助金の見直しは、国民の命を支える農業を市場原理に任せ、食糧安全保障の責任を国が放棄するものだ。県で『農地中間管理機構』を設けて耕作放棄地、小規模水田等の基盤整備が行えるのか。市は、農家への支援をどのように考えているのか」と質問。
産業経済部長は「農家の経営に直接的な影響は大きい。収入減少影響緩和対策や県単・市単の助成金などで、農業経営の安定を図る。農地中間管理機構で、農地を借り受・売買し、大区画化等、条件整備を行う」と答弁。
学童保育 来春から6年生まで受け入れ可能に-実施基準は市で条例化し義務化される
谷口弘義議員は一般質問で「児童福祉法の改定で、国は学童保育の基準を法令で定め、市町村も条例で学童保育の基準を定めることになった。実施案では、来年4月から対象児童を6年生までとし、規模はおおむね40人まで。2人以上の指導員を置き、1人以上の有資格者の配置。静養室を設けるとなっている。また、指導員の処遇の改善、人材確保の方策の検討が示された。市が責任をもって身分保障を行い、指導員の社会的地位の向上を図ることが必要だ。条例を定め、市は学童保育にどう関わるのか」と質問。
市民生活部長は「条例化で市の責任はより大きくなる。学童保育整備計画は、子ども・子育て会議の意見を聞き進めていく。児童年齢の引き上げに伴う具体策や指導員の身分保障、社会的地位の向上も必要であり、検討していく」と答弁。
集団的自衛権 自衛とは無縁-日本が戦争する国に/憲法9条 勝手に憲法解釈を変えてもよいのか 平和の理念を生かし紛争解決の先頭に立て
橋本文一議員は代表質問の冒頭で、安倍首相がこれまで、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の見直しを進めていることに対して、次のように述べた。
安倍首相は安全のためと言うが、集団的自衛権と集団安全保障体制とは全く違うもの。集団的自衛権は、アメリカと協定を結べば、地球の裏側でアメリカ軍が攻撃を受けたら、日本も戦争に参加することになる。集団安全保障体制は、加盟国が互いに戦争をおこなわないようにするもので、紛争が起きれば加盟国で解決し、平和を維持して行こうというものだ。
安倍首相は、自分が「最高責任者だ」と言って憲法解釈を変えるとしているが、憲法改正は法律の制定や改正とは次元が異なる。憲法の改正には、国会議員の3分の2以上の賛成と国民の過半数の賛成が必要だ。それは時の政権が自分たちの都合のいいように、憲法を変えてはならないという立憲主義の理念からだ。首相の解釈改憲は憲法の理念からもはずれている。
日本を海外で戦争できる国にさせてはならない。日本国憲法の平和の理念を生かし、日本が、世界の戦争や紛争の解決の先頭にたつべきである。
住民の声を聞いているのか-新駅周辺整備
橋本議員は「昨年の12月2日、試験列車が黒部宇奈月温泉駅に到着した。歓迎イベントが行われたが、何人もの人から、『束口ロータリー広場の椅子はこれで完成なのか、ロータリー内の歩行者通路は、傾斜が急ではないのか』と言われた。また、新幹線が開通すれば車の通行
が確実に多くなる。周辺住民は、背骨道路の安全対策に信号機等の設置を求めているが、計画はどうなっているか」と質問。
都市建設部長は「椅子については、当面現状のまま供用したい。信号機の設置は地元の要望も踏まえ、警察と協議している」と答弁。
市民病院 より良い医療の提供に職員の待遇改善を-消費増税で病院負担3億1500万円に
谷口弘義議員は一般質問で「黒部市民病院は、住民のためにも、患者さんのためにも、新川地区においても大切な病院である。患者さんへの対応の改善は外来、入院を問わず求められている。病院は何を改善するべきと考えているのか」と質問。
病院長は「職員の接遇、設備、食事、待ち時間の調査を行い、改善できるよう検討し、個々の要望についても積極的に対応していく」と答弁。
4月からの消費税8%で病院負担は3億1500万円になることから、谷口議員は「消費税増税や診療報酬の改定は、病院経営に大きな影響があると考える。病院への影響はどうか」と質問。
事務局長は「消費税関係雑損失で約1億1800万円増加する。診療報酬の改定で、消費税の補填分が上乗せされ、消費税のアップ分は収支均衡となる」と答弁。
勤務の準備・後始末の時問は労働時間-職員のサービス残業は改めよ
谷口議員は「看護師から、残業した時間か全部つかないと言われた。適正に処理するべきである。外来受付では、朝の8時30分から患者さんの呼び出しが始まるが、その前に担当の科で診察の準備や予約患者さんの整理をしておられる。その準備時間は労働時間でないのか。労働基準法から見ても労働時間となる。適切に対応するべき」と質問。
事務局長からは明確な答弁はされなかった。
議員定数2名削減-10月の市議選は18名で実施
日本共産党市議団は、議員定数を2名削減し18名とする議員提案に反対し、次の討論をした。
私たちは、議員定数削減について、住民の地方自治への参加・意見、要望の反映、行政に対するチェック機能、議員は住民に対してどうあるべきかについて意見を述べてきた。
経費削減について、政務調査費・議員調査活動費を使っての海外視察等をやめることや政務調査費の使い方、費用弁償についても議論することを求めてきた。
黒部市より議員定数が少ない自治体でも、議会費が多いところがある。今回の議会改革検討委員会でも議員歳費引き上げの話が出ている。議員定数削減が「経費削減」になる保障はない。
議員の定数削減は住民の地方自治への参加を縮少し、住民の代表性が薄れ、議員は身近な存在から遠くなる。多様な住民意思を議会に反映させるという観点から見ても、今回の定数削減案は問題がある。「経済効率」をいたずらに重視し議員定数を18人にすることは、議会の住民代表機能・意思決定機能・行政監視機能を発揮するには、充分な人数とは言えない。
住民自治の実現という憲法的価値を軽視した今回の議員定数削減案は、議会制民主主義を形骸化する恐れがある。以上の考えから反対する。
消費税8%に増税
消費税は導入から26年間で、282兆円国民が納めた。一方、企業の法人税は252兆円減税となり、企業減税に消えた。
増税で1年間の国民負担は8兆円になる。社会保障の充実に回るのは5千億円に過ぎない。消費増税は国民に負担を押しつける最悪のやり方だ。