県内の史跡や戦跡をめぐるフィールドワーク、「スタディハイク2019」が18日、16人の参加で行われました。富山県AALA連帯委員会が主催し、日本民主青年同盟富山県委員会と日中友好協会富山支部が共催。2009年から毎年行って、今年は11回目となります。
今回は、砺波地域の史跡巡りとして、戦前戦中に天皇の写真(御真影)を納めた「奉安殿・奉安庫」と、戦中に県内でも行われた朝鮮人強制労働(戦時労働動員)の史跡など7カ所を回りました。
午前中は、砺波市高波や南砺市荒木に移築するなどして保存されていた「奉安殿」に加えて、南砺市大鋸屋の旧小学校講堂に残された「奉安庫」を見学。大鋸屋の「奉安庫」は今年3月に修復が終わり、現在は昭和天皇・皇后の写真と、額装された教育勅語が納めてあります。修復にとりくんだ大鋸屋自振興会長の松本久介氏は、「(戦時中)当時は、こんなことが行われていたという事実を、子どもたちに伝えることが大事だ」と話し、若い世代に地元の歴史の事実を伝えることが大事だと強調しました。
午後からは、現在関西電力が管理している庄川沿いの祖山ダム、小牧ダムを回りました。両ダムは1927年、1925年に本格着工。建設の際には朝鮮人労働者が、劣悪な労働環境で働かされていたことが報道されています。この朝鮮人労働者も含む、多数の労働者の犠牲を払いながら建設された発電設備によって、1935年には富山県は全国最大の電力生産県になりました。
参加者らは、祖山ダムにある当時の犠牲者を慰霊する供養塔も見学。戦前から戦中にかけての朝鮮人労働者の実態を正確につかむことが、今日の日韓関係の正常化をはかるうえで、重要になっていることを改めて確認しました。
今回初めて参加した17歳の男性は、「これまで知らなかったことばかりだった」と答え、県内の他の史跡なども、もっと知りたいと語りました。