この低米価では米づくり続けられない-昨年比800円上がるも…
本年産米の概算金は、コシヒカリ一俵60㎏あたり1万1300円と昨年より800円アップ(一昨年より1000円低い)。
9月11日の市議会一般質問のなかで「800円アップは有り難いが、もう少し上がっても…」という農家の声が紹介され、「農政の失策ではないか」と指摘、米価安定のための施策などについての質問がありました。
当局の答弁の概要をお知らせします。
「米の需給バランスについては、徐々に改善の方向にあるが、消費が伸びないことから農業者・農業団体・行政等関係機関がよりいっそう連携し、米の消費拡大に積極的に取り組む必要がある」
「次年度生産調整の見通しについて、8月26日の砺波市水田農業推進協議会地区協議会長会議において、来年度の砺波市平均転作率の概算値は今年度より約0.9%増の38.8%として情報提供した。情報収集に努め十二月下旬には地区別の生産目標数量を示したい」
「米価安定施策について、国では経営所得安定対策事業により、農業者・農業者団体・行政が連携し生産数量目標達成に取り組んでいるとともに、米粉用米や飼料用米等の生産利用拡大に向けた取り組みが進められている。このようななかで本年産コシヒカリ概算金が1万1300円と発表され、昨年より800円アップしたことから明るい兆しも見えたところだ。本市としても米価安定に向け、今後も経営所得安定対策事業等に取り組んでいきたい」
「TPP交渉については7月下旬の首席交渉官会合で合意に至らず、現在次回会合の日程調整中で、今後の見通しがつかないと聞いている。さきのTPP交渉で特別輸入枠について日本は、米国とオーストラリア産を合わせ年間8万トンまで無税の輸入枠で受け入れる検討に入ったが、米国の求める17万5千トンと大きな隔たりがあることから合意に至っていない。実施された場合には米価にある程度の影響が及ぶことが懸念される。政府備蓄米については米の生産量減少による供給不足に備え保有されているものだが、今回は特別輸入枠に対応した米価安定対策や需給対策として検討されているようである。なおTPP交渉については、農業分野ばかりではなく多様な分野に関連しており、交渉中ということで詳細な情報等が国から流れてきていない。国の動向を注視し情報収集につとめる」
民間任せ・市場任せの米政策あらためよ-民間の「収入保険」じゃダメ
当局は「コシヒカリ概算金が昨年より800円アップし明るい兆しも見えた」などと答弁しましたが、この程度の引き上げでは米の再生産を保障することは出来ません。
しかも米価暴落の原因とされている米の過剰状態が放置されたままですから、概算金の引上げどおりに市場価格が回復できるか先行き不透明です。
また、農水省は米価下落による減収分を補てんする「収入減少影響緩和対策」(ナラシ)がセーフティネットの役割を果たすと盛んにPRしています。
この「ナラシ」は20%までの減収が対象。昨年産の農家手取りの減収は多くの地域で30%以上あり、10%余が対象になりません。しかも、ナラシの支払いの4分の1は生産者自らの拠出金!「ナラシはセーフティネットにはならない」のが実態です。
政府は、このナラシを「収入保険」に衣替えし、民間の保険会社に委ねる準備までしています。収入保険で実績のあるアメリカの保険会社に進出の場を提供することが容易に想像できます。
本当に米価を回復させるためには、民間任せ・市場任せの米政策を改め、政府の責任で過剰と思われる30万トン程度を処理して需給改善するしかないと考えます。