まだ認知症が「ボケ」や「痴呆」などと言われ、本人や家族が介護よりも偏見や差別に苦しめられていた37年前、富山県保険医協会が開催した集会の場から発足した「認知症の人と家族の会」(公益社団法人・発足当時は「呆け老人を抱える家族の会」)。勝田登志子さんは、発足当初から県支部事務局長として活動してきました。
会の活動として、本人や家族が、気を許して集まれる「つどい」を、最初は富山市1カ所でスタート。現在では、毎週富山市で行う「つどい」に加えて、高岡市、南砺市井波、朝日町の4カ所で、1カ月10回近い「つどい」を行えるまでに広げてきました。「つどい」に来れない会員さんをつなぐ会報も大事にして、今年11月で437号を迎えています。電話相談も重視し、夜の時間帯での相談にも応じています。
現役で働いていた時から、しんぶん赤旗は購読。会の活動中でも、制度の解説や政治の動向、本人や家族のリアルな実態を伝えるために、積極的に活用しています。「赤旗」が、介護保険制度が開始される前から、家族介護から社会的な介護への移行が重要だと強調し、認知症の当事者が「ふつう」に暮らせる社会に変えようと報道していることがうれしいと話します。本人や家族の言葉をそのまま受け止め、公平中立に、そのまま報道してくれるのが、ほかのマスコミには無い姿勢だと語ります。
会では同時に、「平和でなければ介護もできない」と、憲法改悪反対など、平和の問題も話題にのぼります。「赤旗」が伝える平和への思いにも、会員さんの共感が広がると言います。
「認知症があっても安心して暮らせる社会を」。会報の表題に掲げるスローガンが、勝田さんがめざす社会です。