2020年度富山県の当初予算案は、総額5千7百億円余り(昨年度比+2・9%)で編成されました。
この予算案の特徴は、第一に、現在国会で審議されている大企業への優遇税制と大型公共事業優先、福祉・教育切り捨てを最大の特徴とする政府予算案に「右ならへ」で追随する予算案となっています。民生費は昨年度よりもわずか5億5千7百万円の増、教育費にいたっては17憶3千7百万も減っています。県民税は3・9%増えているといっても個人県民税は3億6百万円減る見通しで、税収は10%に増税された消費税の地方税分での収入増頼みです。県民と中小企業が豊かになって担税力を高めたからではありません。民生費の増額分は地方消費税増収分の1割にも届きません。
一般行政職員を15年間(2004年4月~18年3月)で972人(マイナス23・4%)も削減し、職員人件費を89億円(29・6%)削減してきたことを「全国トップクラス」と評価していることも問題です。行政職員を減らすことは県民サービス低下に直結することであり、自慢する問題ではありません。来年度も中学校で61人、高校で9人など教員が減らされています。利賀ダム建設、富山市中心部の再開発、立山黒部ハイグレード化などの大企業中心の大型公共事業継続予算は見直すべきです。
県民の担税力を高め、地域循環型の地域経済活性化のためにも、県民の福祉・教育充実、中小企業を重視することが大事です。
第二に、この間の県民の声や運動を反映し、一定の積極的事業も含まれています。県立高校普通教室空調整備事業、重度精神障害者の医療費助成費、被爆者証言集発行費助成費、放課後児童支援員処遇改善事業拡充( 35 →50カ所)高校スクールカウンセラーの配置拡充などが予算に盛り込まれています。学校多忙化解消推進費は1億1025万円計上。スクール・サポート・スタッフ配置事業(10人→42人)、部活動指導員配置促進事業(19人→91人)でも拡充しています。
第三に、防災や新型コロナウイルス感染症対策など、県民の命と健康にかかわる緊急の安心安全対策においてはきわめて消極的な予算案です。沖縄県は新型コロナ対策として100憶円を超える補正予算案を提案したことと対照的です。県民は、消費税の10%増税と今回の新型コロナウイルス感染症でダブルパンチのダメージを受けている中で、抜本的対策が求められています。