日本民主青年同盟富山県委員会は8日、富山市友杉の県イタイイタイ病資料館で資料見学と学習会を行いました。イ病弁護団の坂本義夫弁護士が講師。「イタイイタイ病から社会を読む」と題して講演し、質疑しました。
坂本氏は、イ病は1910年ごろから発生が確認されるなど、4大公害病と言われる公害の中でも最も古い公害であると指摘。イ病をめぐる歴史を、戦前、戦後、現在と分けて紹介しました。
戦前は第1次大戦や日中戦争など戦争の拡大にともなって、弾薬の原料となる鉛や亜鉛の製造が増加。戦後は、高度経済成長に合わせて、バッテリーなどの原料として鉛や亜鉛の生産が増えました。生産量の増加にともなって、イ病の患者数も比例して増加。生産の拡大を野放図に進めてきたことが被害を拡大したことにつながりました。
現在では、公害病認定と三井金属とイ病弁護団との間で交わした公害防止協定の締結を契機に患者数は減少。一方で、財界側からの干渉で患者認定が抑えられてきたことも紹介しました。その中で被害地域住民の運動を広げながら、50年かけて、発生源対策、土壌復元、患者認定などを実現させてきたと語りました。
その上で坂本氏は、イ病の歴史から社会を見ると、1人ひとりの命を守るためにも、平和や人権、民主主義を守ることと合わせて、市民の行動が大きな力になると訴えました。
参加者からは、「社会の授業で名前ぐらいしか聞いたことがなかったので、全体像を初めて知ることができた」「イ病の公害認定訴訟が、他の公害病と比べても大きな成果を勝ち取っていることは、驚きだった」などの感想が出されました。